2020年10月8日木曜日

【裁判傍聴記】家庭裁判所の離婚裁判の判決は原告側の夫の逆転敗訴でした

 家庭裁判所で離婚訴訟の判決言い渡しを傍聴しました。この訴訟の原告は夫で、被告は妻でしたが、被告である妻側から反訴請求として離婚請求と損害賠償請求が提訴されていたものです。判決当日は、原告、被告側ともに当事者も代理人も出廷しませんでしたが、当事者・代理人不在でも裁判長は判決を言い渡します。結果、被告側の妻の逆転勝訴でした。原告である夫は完敗でした。

資料画像(by pixabay)

【判 決】
原告の請求は棄却する。原告と被告は離婚する。子どもの親権は被告に帰属する。原告は子どもが成人に達する期日まで、毎月末日までに被告に対し養育費月5万円を支払え。原告は被告に対し損害賠償金として214万〇×△□円を支払え。訴訟費用は原告の負担とする。

通常は民事事件や家事事件の裁判の判決言い渡し期日の法廷には、当事者も代理人も出廷することはありません。裁判長が判決を読み上げるだけです。今回も例にたがわず法廷には、原告・被告ともに当事者も代理人の弁護士も出廷していませんでした。開廷時刻になって法廷にいたのは、裁判所の書記官と傍聴席の一般傍聴人の私だけでした。裁判長は忘れていたのでしょうか、書記官の電話であわてて出廷してきて判決を読み上げました。当事者双方は、裁判所から判決書が郵便か手渡しで送達されるため、出廷する必要がないのです。

離婚という出来事は、何があったにせよ夫と妻そして2人に間に生まれた子どもにとっては、その後の人生を左右する大きな出来事だと思います。その裁判の判決を直接法廷で聞くことなく事務的に別れるというのは、当事者双方の関係がよっぽど枯れ切っていたのでしょうね。

今回は判決のみの傍聴でしたので、離婚請求の理由などの詳細は不明でしたが、家庭裁判所に離婚請求を申し立てたのは原告側である夫でした。なお、裁判所に離婚請求を提起する場合は最初に調停委員を仲介とする離婚調停があります。離婚調停で不調となった場合に初めて裁判を提起できるということになっています。
今回の事例では、原告である夫が調停裁判で離婚請求を提起したのですが、被告側の妻はこれを不服として逆に裁判所に対し、原告の夫を訴える反訴請求を行いました。反訴請求として離婚請求と損害賠償請求を行いました。損害賠償請求とは、いわゆる慰謝料ということになります。財産分与は慰謝料とは別の扱いになります。


今回の離婚裁判は、夫が妻に対して離婚請求したものでしたが、妻側が反訴請求として離婚と損害賠償を提訴していますので、恐らく夫に不貞行為(浮気)などの不法行為があったのでしょう。裁判所もこれを認めて損害賠償の支払いを原告側の夫に命じていますので、妻側は夫の不法行為(浮気)の確たる証拠を提出したのでしょう。

判決は原告の夫の請求は根拠なしとして棄却し、改めて被告の妻の請求による離婚を認めました。また、夫の不法行為(恐らく浮気)を認め、夫に妻に対する損害賠償(慰謝料)の支払いを命じました。損害賠償(慰謝料)214万円は、相場の範囲内のようですが、それなりにインパクトがありますね。また子どもの親権は妻側にあるとして、夫に対して養育費月5万円を子どもが成人に達するまで時まで支払えと命じました。判決で養育費の支払いを命じましたので、支払われない場合は元夫の給料の差し押さえなど強制手段をとることができます。この他に妻側は夫に対し財産分与も請求することができます。最近は養育費を支払わない元夫が急増しているそうですが、判決をもって強制執行できるのではないでしょうか。


結局、今回の判決は原告である夫の離婚請求に対して「お前が言うな」ということで棄却し、改めて妻側からの離婚請求を認めて、更に夫の不法行為(恐らく浮気)を事実として認め、夫に対して慰謝料の支払いを命じた判決でした。原告の夫の完敗でしょう。裁判に持ち込むまでもないでしょうに、何故夫が離婚提訴したのか分かりません。バレていないとでも思っていたのでしょうか。


平成30年の離婚件数は約21万件で、離婚率は約1.7%、2分半に1組が離婚しているという状況のようですから、今回の裁判のような事例は多いことでしょう。ただ、大人の勝手な事情で子どもを犠牲にしないようにしてもらいたいものです。

0 件のコメント: