滋賀県大津市の「小野妹子神社」は「唐臼山古墳」の上に建っています|やまちゃんねる商店

琵琶湖を望む滋賀県大津市の丘陵地の中の小高い古墳の上に「小野妹子神社」があります。この古墳は「小野妹子」の墓と云われています。「小野妹子」はご存知のとおり飛鳥時代の推古天皇の時代に遣隋使として中国の「隋」に天皇の国書を携えて派遣された外交官です。「小野妹子神社」は、「小野妹子」を御祭神として祀っています。

一之鳥居

小野妹子神社（おののいもこじんじゃ）御由緒　

御祭神　

大徳冠位小野妹子命（おののいもこのみこと）

御神紋

不詳（昭和５２年？）

創　基
不詳

ご利益
外交、華道上達

所在地
滋賀県大津市水明一丁目２８

これまでの投稿で、滋賀県大津市小野の「小野神社」、「小野篁神社」、「小野道風神社」をご紹介してきました。今回は「小野妹子神社」をご紹介します。「小野妹子神社」はこれまでの神社と異なり、小野集落から少し離れた新興住宅地の中の小高い丘の頂上部の古墳の上に建っています。

飛鳥時代から平安時代にかけて権勢を誇った「小野氏」一族は、第五代孝昭天皇の皇子の「天足彦国押人命（あめのおしたらしひこのみこと）」を祖とする和爾氏の枝氏で、「近江国滋賀郡小野村」（現在の大津市小野）を本拠として活躍し、ならびに山城国愛宕郡小野郷（現在の京都市左京区上高野付近）も支配下に置いていたとされています。　

「小野氏」一族は、代々朝廷の官人（官僚）として活躍し、外交官や地方官僚としても活躍し、和歌や詩歌に秀でた者も多くいたと伝えられています。このうち「小野篁（たかむら）」は参議にまで昇りつめ、「小野道風」は能書家としても有名です。

「小野妹子」は、小野氏一族の家系にあって「春日皇子（かすがのみこ）」の子とする説があります。「妹子」は推古天皇の御代の廷臣で、推古１５年（６０７年）聖徳太子の命で「第二回遣隋使」として、天皇の国書を携えて大唐「隋」に派遣されました。国書には「日出る処の天子、書を日没する処の天子に致す云々」と記されていました。「隋帝」は歓待し、勅使を「妹子」の帰国に随行させるとともに、「妹子」には天皇への返書を託しましたが、「妹子」はこれを途中で亡くし、このため一時流刑されますが、恩赦されて大徳に昇進しました。翌年の推古１６年（６０８年）「妹子」は「第三回遣隋使」として、天皇から隋帝への返書を携えて、「隋帝」の勅使を「隋」へ送るとともに、日本から多くの留学生を「隋」へ送り込みました。

「妹子」は、日本と大国「隋」との対等な外交交渉を行い外交史上神徳が高いとして、当社「小野妹子神社」に御祭神として祀られています。

このため「小野妹子神社」は、今でも外交官や駐在員の参拝が多いということです。

「妹子」は、「華道の創設者」として、今も華道家元「池の坊」によって免許の授与が受け継がれているということです。

二之鳥居

本殿

唐臼山古墳

「小野妹子神社」は、「唐臼山古墳（からうすやまこふん）」の上に建っています。「唐臼山古墳」は、「小野妹子」の墓であると云われています。「妹子」の墓は大阪府太子町にあるとする説もありますが、「小野氏」一族の系譜から考えると当地であるとする説が正解ではないでしょうか。

本殿の背後に、古墳の墳石が崩れて露出しているのが見えます。

本殿の背後の墳丘と噴石

本殿の背後の墳丘と噴石

墳丘と噴石

墳丘と噴石

「小野妹子」の墓とされる「唐臼山古墳」について、大津市教育委員会の掲示板には次のように記されています。

唐臼山古墳は、今から約１４００年前（７世紀前半）、古墳時代の終わり頃に造られました。現在は墳丘が崩れて石が見えています。もとは板石を組み合わせて、亡くなった人を納める部屋を造っていました。
未調査のため、詳しいことは分かりませんが、周辺の観察から、床面には小石を敷き詰めていたようです。また、わずかに土器も見つかっています。
７世紀前半に、遣隋使として活躍した小野妹子の墓ではないか、とも言われていますが、確かなことはわかりません。しかしながら、貴族層の人物のお墓であると推定されます。