前回の
「京都の「吉田神社」その2 全国の神々を祀る「斎場所大元宮」など」では、「吉田神社」の「斉場所大元宮」など3社の末社についてご紹介しました。
今回は、稲荷塚が50社以上ある
「竹中稲荷社」、
「天満宮社」、方位を守る神石のある産土神
「今宮社」などの末社についてご紹介していきます。
|
竹中稲荷神社参道 |
「吉田神社」は、霊山
「吉田山」の山腹にあって、平安京の鬼門を守護し続けてきました。「吉田山」はもとは
「神楽岡」と呼ばれ標高は105mで東山三十六峰に含まれるとされています。「吉田山」の山頂部の南側を巻くように山腹に「吉田神社」の末社が建てられています。
竹中稲荷社(たけなかいなりしゃ)
御祭神
宇賀御魂神(うがのみたまのかみ) 日本神話の女神・豊穣の神様
猿田彦神(さるたひこのかみ) 日本神話の導きの神様
天鈿女神(あめのうずめのかみ) 日本神話の芸能の女神
ご利益
商売繁盛
「竹中稲荷社」は、吉田山の頂上部付近にありますが、ここから更に山頂部に進むと平安初期の歌人
「在原業平」の分骨が納められていると云われている
「業平塚」があり、記録によると
「在原業平の居を神楽岡稲荷神社の傍らに卜す」と記録されているそうで、天長年間(824年~834年)にはこの地に社殿があったことが知られています。
「竹中稲荷社」は、詳細は不詳ですが当初は単立の神社として創建され、その後の記録にも
「天保年間(1831年~1845年)に京師幾萬の子女郡参し、昼夜の別なく満山に踊躍す。是を蝶々踊と云い、其の数数千の鳥居参道に樹立し、雨雪為に傘を要せず」と記されているそうで、当時の稲荷詣でが盛んであったことが分かります。稲荷神社の総本社と云われている
「伏見稲荷大社」をもしのぐ勢いがあったような書きようです。
本殿は、店舗11年(1840年)に信徒の寄進で造営されたもので、当時
「竹中稲荷講社」が組織され、これは現在も継承されているそうです。
明治5年(1872年)に「吉田神社」の末社に指定されました。
|
一之鳥居と狐の狛犬 |
神楽岡の頂上部の民家の横の参道には、その昔幾千の鳥居が立ち並んでいたのでしょう。
|
参道の鳥居 |
|
拝殿 |
|
本殿 |
「竹中稲荷社」の横には末社の「若竹神社」「竹春神社」「竹丸神社」が並んでいます。
|
若竹神社 |
|
左「竹春神社」右「竹丸神社」 |
「竹中稲荷社」の背後の山の斜面には、大小含めて50社以上の稲荷社があり、さながら狐穴ごとに社が建てられているかのよう見えます。(こんな言い方はバチがあたります)
奥の院には「竹劔稲荷神社」が建っています。
|
竹劔稲荷神社 |
「竹中稲荷社」の境内からは「左大文字」を望むことができます。
|
中央の山の三角形に開けた部分が「左大文字」 |
天満宮社
御祭神
菅原道真(すがわらみちざね) 平安時代の貴族・歌人
ご利益
学問上達
「天満宮社」は、「竹中稲荷社」の隣に鎮座しています。
学問の神として知られており、嘉永6年(1852年)に「竹中稲荷社」の信徒の誓願で、智福院山内より卜部良芳がこの地に遷座しました。
明治5年(1872年)に「吉田神社」の末社に指定されました。
|
鳥居 |
|
「天満宮社」社殿 |
今宮社
御祭神
大己貴神(おおなむちのかみ) 大国主命
大山祇神(おおやまづのかみ) 伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の子 山の神
健速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと) 須佐之男命(すさのおのみこと)
ご利益
鎮守の神、金運、縁結び、厄除けなど
「今宮社」は、古くから
「木瓜(ぼけ)大明神」と称されています。鎮座の年代は不詳ですが、鎌倉時代の順徳天皇建保3年(1215年)の「吉田神社勧進状(造営趣意書)」の中にその名が記されています。その後、江戸時代の光格天皇文化13年(1816年)に、この地に造営され「木瓜大明神」と称し、当地吉田町の
産土神(うぶすながみ)として、人々の崇敬を集めています。
|
一之鳥居 |
|
拝殿 |
|
二之鳥居と狛犬 |
|
本殿 |
|
本殿 |
「今宮社」本殿り境内の四隅には、方位を守る霊石「四神石(よんしんせき)」が配置されています。本殿の東南には「青龍石(せいりゅうせき)」、西南に「白虎石(びゃっこいし)」、西北に「玄武(亀)石(げんぶいし)」が配置され、東北の「朱雀石(すじゃくいし)」は内陣に有ると伝えられています。(約280年前の文化年記に記載されているそうです)
|
白虎石(西南) |
|
玄武石(西北) |
|
青龍石(東南) |
|
東北にはありません |
「吉田神社」は霊山吉田山にあり、境内はどこも「パワースポット」です。また、この神楽岡の地には「後一条天皇陵」や「陽成天皇陵」の御陵もあり、「真如堂」や「金戒光明寺」などの日本仏教の礎を築いた寺院もあります。四季を通じて景観を楽しめるエリアですので、是非訪れてみてください。(ただし一日で廻るのは難しいですよ)
アクセス
京阪電車京阪本線 出町柳駅下車 徒歩20分
京都市バス 「京大正門前」バス停より徒歩5分
0 件のコメント:
コメントを投稿