被告人は、眼鏡店でメガネフレームとメガネケースを注文し、約1時間の後「タバコを買ってくる」と店員に伝え、メガネフレームとメガネケースを隠し持って店を出てそのまま逃走しました。その後、被告人は「窃盗」の容疑で逮捕されました。
被告人:50代前半男性
求 刑:懲役4年
今回の事件は、前回までの審理で被告人質問まで終わっていましたので、本日の審理は「論告求刑」と「弁護人最終弁論」「被告人最終陳述」の手続きのみとなっていました。
事件の概要
平成30年5月〇日12時前、被告人は眼鏡店に入りメガネカルテを受診して、メガネフレームとメガネケースを注文しました。
その後被告人は約1時間店員と話をしていましたが、タバコを買ってくると店員に伝え店を出て行き、そのまま店に帰ることはありませんでした。
被告人が店に帰ってこないので不審に思った店員は店先を確認すると、メガネフレームとメガネケースが無くなっていましたので、慌てて110番通報しました。その後、駆け付けた警察官による捜査の結果、被告人が特定され逮捕にいたったものです。
被害金額は2点合わせて21,000円でした。
この眼鏡店は、店頭にレジはなく、また支払った代金に対し領収書を渡すこともない店でした。(請求すれば発行したのでしょうが)
被告人は、前科が9件あり、この事件は前刑での出所後5カ月後のことでした。
この事件の注目点は、被告人は店員に代金を支払って店を出たと主張しているにも関わらず、代金を受け取っていないとする店員の主張が真っ向から対立しています。
従って、被告人と弁護人は無罪を主張し、検察側は有罪をしています。
被告人と店員のどちらがウソをついているのか、裁判所の判断が注目されます。
論告求刑
論 告
被告人は、前科が9件あり、今回の事件は前刑の出所後5カ月後の犯行であることから、規範意識が鈍磨している。反省の意識もなく、再犯の可能性がある。
求 刑
被告人に懲役4年を求刑する。
弁護人最終弁論
被告人が代金を支払ったにも関わらず眼鏡店の店員は、商品を盗られたと主張している。
被告人は平成30年5月〇日12時前から13時頃までの間、複数回に亘り平然と店員と顔を合わせ会話している。とても窃盗の意図があったとは言えない。
店員の言動は、被告人が「金を払った」→「金を再度支払う」→「金を支払っていない」と変わってきており信頼できない。
この眼鏡店にはレジもなし、領収書も発行していないということで、店員が虚偽の証言をする動機となる「受け取った代金を計上しない」ということは容易である。このことから店員は引っ込みがつかなくなっているのではないかと推定する。
被告人は、メガネカルテに自分の携帯の真の電話番号を記入しており、犯人がこのようなことをするということは考えられない。
従って、証言に立った眼鏡店の店員の証言は信用できない。
被告人は無罪を主張する。
被告人最終陳述
メガネ代金を支払ったにも関わらず、納得できません。
納得できる判断がほしいです。
裁判の向う側
本日の審理を傍聴した限りでは、眼鏡店の店員の証言には疑問が残るため「疑わしきは無被告人の有利に」との刑事裁判の鉄則から被告人の無罪が想定されますが、どうだったでしょうか。残念ながら判決を傍聴していませんので分かりません。
それにしても、この眼鏡店は突っ込みどころが多すぎます。「レジなし」、「領収書なし(これについては被告人も何故請求しなかったのかが問題ですが)」、と恐らく「防犯カメラなし」でしょう。今時の商売ではありえないことだと思います。
(「レジなし」「領収書なし」は税務上もかなり問題でしょう・・・)
裁判所の判断を聞きたかったです。
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