京都の【祇園祭後祭】の宵山に行ってきました|やまちゃんねる商店

「日本の三大祭」のひとつ、京都の【祇園祭】は７月１７日の「前祭（さきのまつり）」の山鉾巡幸で華やかで豪華蓮蘭な祭の幕を閉じたと思われている方が多いのでしょうが、ところがどっこい山鉾の数は少ないですが「後祭（あとのまつり）」もございます。「後祭」も「鉾建（ほこたて）」から「宵々山（よいよいやま）」、「宵山（よいやま）」と続き７月２４日には華やかに「山鉾巡行（やまほこじゅんこう）」が行われます。

祇園祭後祭2019山鉾巡幸一番の橋弁慶山

祇園祭は７月１日から３１日までの３１日間続く期間の長い祭です。京都の人は祇園祭の
「前祭（まえのまつり）」のクライマックス「山鉾巡行」の日が来ると「夏が来たなあ」と思います。そして京都の人は祇園祭に合わせて「鱧（はも）」を食べます。

浄妙山の胴懸

「祇園祭後祭」の「山鉾（やまほこ）」は、烏丸通り、室町通り、新町通りの三本の南北の通りの四条通りから御池通りまでの間に１０基の「山鉾」が建ちます。

そして７月２４日の「山鉾巡行」では、１９３年ぶりに祭神の掛け軸を納めた唐櫃を担いで歩く「鷹山（たかやま）」を加えて１１基の「山鉾巡行」が行われます。

「山鉾巡行」は「烏丸御池」をスタートして御池通りを東へ進み、京都市役所で京都市長から「くじ改め」を受けた後、「河原町御池交差点」で「辻回し」を行って南へ方向転換し、河原町通りを南へ進みます。そして「四条河原町」の交差点でもう一度「辻回し」を行って西方向転嫁し、四条通りを西へ進みます。四条烏丸の交差点へ戻った山鉾はこの後、それぞれの町内へ戻って行きます。

山鉾の位置

それぞれの山鉾の装飾と御神体と飾りは、山鉾の各町内の町屋で展示されています。町屋では各町内の方が展示物の説明もしていただけ、祇園祭で欠かせない「粽（ちまき）」や
「お守り」や「手ぬぐい」などの販売もしています。

「山鉾巡行」で先頭を行く「橋弁慶山」は、謡曲「橋弁慶」を題材に、弁慶と牛若丸を御神体として、弁慶と牛若丸が五条の大橋で戦う姿を山鉾の上で表現しています。弁慶と牛若丸の人形は永禄６年（１５６３年）大仏師康運作の銘があるそうで、また胴懸の加茂祭礼図綴錦は円山応挙の下絵と伝えられているそうです。歴史的・芸術的に非常に価値の高いものです。

鉾建てされた橋弁慶山

橋弁慶山の車輪部分

橋弁慶山

橋弁慶山の五条大橋部分と胴懸装飾

町屋２階に展示された橋弁慶山の弁慶（左）と牛若丸（右）

京都の「祇園祭」の歴史は古く、平安時代に遡ります。

京都はもともと内陸の湿地であったために高温多湿の地でしたが、そこへ都を遷し平安京を建都したことに伴い、急速に人口が集中したため下水路など衛生面で十分でなかったことから、疫病が流行したため貞観５年（８６３年）神泉苑で疫神や死者の怨霊などを鎮めるための祭「御霊会（ごりょうえ）」を行いました。

その後も疫病が続き、更に貞観６年（８６４年）には富士山の大噴火や貞観１１年（８６９年）には陸奥で貞観地震が起こり津波で多数の犠牲者が出るなど全国的に厄介が発生し、社会不安が深刻化したため、全国の国の数を表す６６本の矛を立て、その矛に諸国の悪霊を移し宿らせることで諸国の穢れを祓い、神輿３基を送って薬師如来を本地とする牛頭天王を祀り御霊会を執り行いました。この貞観１１年（８６９年）の御霊会が祇園祭の起源とされています。

貞観１８年（８７６年）には牛頭天王が京都に遷座して、現在の八坂神社の地に落ち着きました。そこに祇園社として祀られ、感神院と号して比叡山延暦寺に属し、祇園社は延暦寺の末寺とされ、洛中支配の拠点となりました。

祇園祭りの山鉾巡行の形態は鎌倉時代末期頃からと云われており、鉾を取り巻く「鉾衆」のまわりで舞曲を演じたということです。更に室町時代になって、自治組織としての町ごとに趣向を凝らした山鉾を作って巡行させるようになりました。

その後、山鉾の数は６０基（前祭３２基、後祭２８基）で巡行するという現在の原形が出来てはていたが、応仁元年（１４６７年）の応仁の乱で３３年間中断しました。

江戸時代に入り京都の三大大火によって祇園祭も大きな被害を受けましたが、その後化政文化の波に乗り山鉾の大型化・華美化が進みました。

その後時代は進み、明治維新以後巡行コースの度重なる変更や、第二次大戦による中断があったもののそれぞれの山鉾は順次復興していきました。

昭和４１年（１９６６年）前祭・後祭を統合して合同巡行にした時期を経て、平成２６年（２０１４年）には後祭が再開されました。

祇園祭は文化財となる華麗な装飾と京都らしい優雅な山鉾巡行で、京都の観光の目玉となっています。

祇園祭前祭宵山風景

「黒主山」は、謡曲「志賀」にちなんで大伴黒主が桜の花をあおぎながめている姿をあらわしています。御神体の人形は寛政元年（１７８９年）の銘をもっているそうです。

黒主山

黒主山の御神体

　「祇園祭の粽（ちまき）」　

「粽」と聞くと食べ物を連想されると思いますが、祇園祭の「粽」は食べ物ではなく、笹の葉で作られた疫病・災難除けのお守りです。毎年祇園祭のときだけ各山鉾のお会所や八坂神社で販売され、京都では多くの人が買い求めて一年間家の玄関先に飾ります。

各山鉾ごとに御神体を祀っていますので、それぞれご利益も異なります。疫病除け・厄除けは各山鉾共通のご利益ですが、例えば私は今回買い求めた「浄妙山」では勝運向上のご利益が、「鈴鹿山」では盗難除けと安産のご利益があると云われています。

私は「浄妙山」で買い求めた「粽」を家の玄関扉に下のようにお祀りしました。