2019年7月22日月曜日

「いわゆる高齢ドライバー」による事故について

最近テレビのニュース番組やワイドショー番組で、いわゆる「高齢ドライバー」による事故の報道が続いています。これまでも高齢ドライバーによる交通事故は多かったのでしょうが、東京の池袋での87歳の高齢ドライバーによる「過失運転致死傷」事件の報道がひとつのきっかけとなって、いわゆる「高齢ドライバー」による事故がクローズアップされてきたので目立つことになったのでしょう。

「交通事故」の画像検索結果

先週の平日の水曜日(7月17日)、私は家内の買物に付き合って郊外のスーパーマーケットに車で行き、スーパーの立体駐車場の4階に車を止めて、車の中で家内が戻るのを待っていました。車の中で待っていたのは午前11時から12時の間の約1時間でした。

漠然とではありましたが、4階の入口からの車が次々と目の前を通っていくのを見ていました。その数は約1時間に30台程度でした。(数えていたわけではありませんが)

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目の前を通り過ぎていく車を見ながら、同時に運転席でハンドルを握っている人の顔と助手席に座っている人の顔も見ていました。

結果は、予想はしていましたが、運転席でハンドルを握っている方の8割程度は70歳以上と思しき「いわゆる高齢ドライバー」でした。そのうち男性と女性の方の比率は7割が女性、3割が男性の方が運転していました。男性ドライバーの場合はほとんどが助手席に奥さんと思しき方が座っています。それに対して女性の方はほとんどが単独運転でした。

郊外のスーパーですので、買い物に出かけて来るには車が必要な方が多いのは分かりますが、「いわゆる高齢ドライバー」がこれだけ多いのは予想はしていましたが、予想以上の多さに少し驚きました。しかも、結構な高齢の方も多くいました。

また、私はその1時間の間に驚くべき光景を見ました。買い物を終えて帰るのでしょうが、1台の高齢男性ドライバーが運転する車が、なんと駐車場の出口に向かうのに入口方向へ向かって矢印の向きと反対向きに通路を逆走して行きました。対向車が来ないうちに出口方向へショートカットしたかったのでしょう、結構なスピードで逆走して行きました。見ているとその車は出口を見落として、少し進んでから慌ててUターンして出口へ戻っていきました。戻った方向も逆走でした。そして、その車の助手席には、奥さんと思しき高齢女性が座っていました。


※注.スーパーの駐車場は公道ではないので、道路交通法の適用を受けないと考えている方が多いと思います。従って「駐車場の標識や通路に描かれた進行方向の矢印もスーパー側が勝手に設けているだけなので全部守る必要はない」と思っている方が多いでしょう。
違います。スーパーの駐車場も道路交通法でいう「一般交通の用に供するその他の場所」となり道路交通法の適用を受けるということが、大阪高裁の判例で認定されました。
従って、スーパーの駐車場も標識や進行方向の矢印も守って通行する必要があります。
認識のなかった方は、認識して運転してください。


一般道路でも同様のことを感じます。平日の9時過ぎに郊外の道路を走ると「いわゆる高齢ドライバー」が多いです。そして後ろから車間を詰めて走ってくる車も高齢ドライバーが多いように感じます。先日、信号のある交差点で見た光景は、交差側の信号が黄色から赤に変わった直後に車が猛スピードで赤信号を無視して交差点を横切っていきました。その車は高齢の女性が運転していました。交差点を渡ることしか考えていなかったのでしょうか、見ていたこちらが「ヒャッ」としました。

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「いわゆる高齢ドライバー」の事故がアクセルとブレーキの踏み間違いがクローズアップされていますが、それだけではないということは、「逆走」や「信号無視」の事象を見て
も言えると思います。だから、車の機能だけ向上させても高齢ドライバーの事故は減らないと思います。

私は決して高齢者が車を運転することの是非を訴えているのではありません。車が無いと生活できない環境の方もたくさんおられることは事実ですし、まだまだ身体も問題ないという方も多いでしょう。車の運転を楽しみたいと思っている人も多いでしょう。

しかし、人間は年を取ると一般的にいろんな機能が衰えるんです。認知機能、判断機能、身体の反応機能などです。

また、人間は高齢になると「わがまま」になります。まわりのことが見えなくて自分のことしか考えられなくなり、他の者が自分を助けてくれると思い込んでしまいがちになります。

要は「いわゆる高齢ドライバー」による事故を防止するためには、まず高齢者が自分の機能の衰えを自覚して、更に他の者が助けてくれるという意識を捨て、「本当に自分の運転は大丈夫か?」、「他人を事故に巻き込まないか?」を自問自答して、少しでも不安が残れば、車を運転しないことが大事だと思います。

他人を殺めたり傷つけて、余生を刑務所で過ごすことの無いよう、他人を殺めたり傷つけたという自責の念で過ごすことのないよう自分自身の自覚をもって判断してほしいと思います。

現在、国は70歳から74歳のドライバーに免許取得・更新時に「高齢者講習」、75歳以上のドライバーには併せて「認知機能検査」を義務付けて、「認知機能検査」の結果次第では免許を取り消すなどの対策を講じています。しかし、現在の「認知機能検査」は認知症の検査程度だといいます。実際に「認知機能」として検査すべきは、危険の認知能力や動体認知機能だと思います。さらに言えば「実技」での「判断機能」や「身体の反応機能」も検査すべきだと思います。
「いわゆる高齢ドライバー」による事故での犠牲者を減らすには、国はもう少し「大なた」を振るってもいいのではないかとも思います。

日本はこれから益々超高齢化社会に突入します。自分自身も含めてしっかりと考えていきたいと思います。

※「高齢者」の定義で一定のものはありません。WHO(世界保健機構)の定義では65歳以上を「高齢者」65歳~74歳までを「前期高齢者」、75歳以上を「後期高齢者」と定義しています。日本の厚生労働省もこの定義に従っているようです。
「道路交通法」ではこの定義とは異なり70歳以上を「高齢者」としています。
本稿で「いわゆる高齢ドライバー」としたのは、70歳以上の方のドライバーのことを指しています。

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