【裁判傍聴記】 実刑判決でVサインはあかんやろ

被告人は、裁判長が判決を「主文　被告人を懲役4年6月に処す。懲役後仮釈放にて保護観察6月とする。」と言い渡したのを聞き、裁判長がまだ量刑理由を述べているにも関わらずに、薄ら笑いを浮かべながら、裁判長に隠して傍聴席に向かって後ろ手でＶサインをしました。

罪　状　覚醒剤取締法違反事件　判決

被告人　20代後半　男性

求　刑　懲役5年

判　決　懲役4年6月　懲役後仮釈放にて保護観察6月

当日法廷傍聴席には被告人の妻と思われる乳飲み子を抱いた若い母親らしき女性とその付き添いと思われる50代の女性、40代の男性が着席していたが、乳飲み子が泣き出すので付き添いと思われる50代の女性が抱いて法廷の外へ連れ出す。(傍聴席に乳飲み子を連れてくること自体問題と思うが。)

裁判長が入廷し、判決言い渡しの直前に弁護側が保護観察期間を付けるのための情状証人を申請し、検察側も了承しました。保護観察期間中に身元を引き受けられるかどうかの証人尋問です。

(弁護側質問)

弁護人　
あなたは現在何をしていますか。

証　人　
不動産業と建設業を兼業する自営業です。

弁護人　
あなたは保護観察中の被告人を雇用し監督指導できますか。

証　人　
できます。

(検察側質問)

検察官　
あなたの会社の従業員は現在何人ですか。

証　人　
現在従業員はいません。受けた建設関係の仕事は知り合いに頼んでいます

検察官　
現在従業員がいなく、資本金も百万円ということですが、被告人が仮釈放後の保護観察処分中でも被告人を雇って仕事をさせて監督することができるのですか。

証　人　
できます。私も若いころ覚醒剤でつかまった経験がありますので、彼の気持ちは充分わかっています。ですから誰よりもしっかりと監督できます。　

検察官
(大丈夫かいなと首をかしげるも質問終了。)

(いよいよ判決)

裁判長
主　文
「被告人を懲役4年6月に処す。懲役後仮釈放にて保護観察6月とする。」(検察側の求刑は懲役5年でした。)

・・・被告人　このとき裁判長に隠して後ろ手で傍聴席に向かって指でVサイン

　　　　

(被告人は初犯でなく異種累犯歴があるため執行猶予なしの実刑判決)

　

裁判長　
被告人 最後に言いたいことがあれば言う機会を与えます。

被告人　
出所後は証人のもとで頑張って仕事します。

「二度と覚醒剤はやりません」や「お詫び」の言葉は聞けませんでした。　

裁判長の判決の途中にVサインをしたり、裁判長の判決理由説明中も被告人席で脇見やソワソワと聞いているのだか聞いていないのだか、最後まで反省の色は見られまらんでした。更に刑務所から迎えに来た刑務官に対しても傍聴席の身内からの差し入れ品の検査についてもあれやこれやと文句を言っていました。

「こいつまたやるやろうなー」と勝手に思ってしまう光景でした。

大麻や覚醒剤は再犯率が非常に高いと言われていますが、今回の裁判でもこのような犯罪に対する法律の限界のようなものを感じました。彼が再犯しないことを祈ります。かわいい奥さんとかわいい子供を二度と泣かさないようにしてくださいよ。