2019年5月24日金曜日

能登半島の「道の駅とぎ海街道」と「世界一長いベンチ」

奥能登の「世界一長いベンチ」は、石川県羽咋郡志賀町富来領家町の「道の駅とぎ海街道」の駐車場の後方の海岸にあります。
この富来の町はまた、終戦後に京都の舞鶴港でシベリア抑留からの帰還兵を乗せた引き揚げ船を待つ姿を描いた、流行歌「岸壁の母」のモデルとなった「端野いせ」さんの故郷でもあります。


世界一長いベンチ

石川県羽咋郡志賀町富来領家町は、平成17年に志賀町と合併しましたが、それまでは「富来町」として町政を運営していました。富来町は奈良時代から平安時代にかけては、「渤海国※」との交流の玄関口となり、また江戸時代には北前線の寄港地として栄えていました。

※渤海国とは、698年から926年にかけて、現在の中国東北部から朝鮮半島北部、現在のロシアの沿海地方にかけて、かつて存在した国家です。交易で栄え「海東の盛国」とよばれましたが、最後は契丹によって滅ぼされました。


 「世界一長いベンチ」(かつて) 

富来町の日本海の増穂浦海岸の少し小高くなったところに、このベンチはあります。
このベンチは、昭和62年にかつての富来町が設置した「全長460.9mの木製ベンチ」で、かつて「世界一長いベンチ」としてギネスブックに登録されました。

現在「世界一長いベンチ」は、富山県の南砺市にある瑞泉寺前に設置された「全長653.02m」の木製ベンチか、ブルガリア南西部の町パザルジクにある「全長1015m」の木製ベンチのいずれかであると云われているそうです。

世界最長の座は明け渡していますが、現在もその名を使っていますので、(かつて)を付加させていただきました、

現在は「サンセットヒルイン増穂のベンチ」として有名で、このベンチに座って日本海に沈む夕日を見るのは最高でしょうね。

世界一長いベンチの標識(かつては付いていません)

「世界一長いベンチ」中央部

「世界一長いベンチ」北部分

「世界一長いベンチ」南部分

 「岸壁の母」のモデル「端野いせ」 

若い方は「岸壁の母」「二葉百合子」のことを知らないと思いますので、「シベリア抑留」「引揚」のことを少しお話しておきます。

太平洋戦争末期の昭和20年8月14日、日本は「ポツダム宣言」を受諾し、翌8月15日の正午、昭和天皇は「玉音放送」で自ら太平洋戦争の無条件降伏を告げる「終戦の詔書」を朗読されました。これによって日本国民は長かった戦争の終結を知ることとなりました。日本の「ポツダム宣言」による降伏文書への署名は、9月2日米艦船「ミズーリ号」で行われました。

この後、アメリカを中心とする連合軍が日本全土へ進駐軍として乗り込み、日本を占領地として占領政策を実行していきます。

日本が「ポツダム宣言」を受諾する直前の8月9日、ソ連軍はそれまでに結んでいた「日ソ中立条約」を破棄してが占領していた満州・北部朝鮮の境界を全線に渡って突破して日本の占領地へ侵攻してきました。軍事力の低下していた日本軍はこれに抵抗できるはずもなく、戦線は敗戦に次ぐ敗戦で、前線の日本兵は次々に捕虜となりシベリアの強制施設に送られることとなりました。捕虜となった日本兵はその数約57万5千人にも及び、シベリアの極寒地で強制労働に従事させられた結果、過労と栄養不足で次々と倒れ、約5万5千人の人々が死亡しました。

抑留者たちは、日本敗戦から2年過ぎた昭和22年になり、ようやく日本への帰還手続きがとられることとなり、これは昭和31年まで続くこととなりました。

シベリアからの帰還兵は、引揚船に乗せられて京都府の北部舞鶴港に帰還します。

舞鶴港には、引き揚げてくる帰還兵の帰りを今か今かと待つ家族が待っています。このとき帰還兵の帰りを待つ母親をあるマスコミ等が取り上げた結果、この母親の姿を「岸壁の母」と称して、その一人の富来町出身の「端野いせ」さんがモデルとなり、流行歌「岸壁の母」や映画にもなり、当時の日本国民から共感されることとなりました。

流行歌「岸壁の母」は

「母はきました 今日もきた この岸壁に 今日もきた とどかぬ思いと知りながら もしや もしや もしや もしや にひかされて」

の歌詞で、作詞「藤田まさと」、作曲「平川浪滝」で最初昭和29年に歌手「菊池章子」でレコードをリリースしましたが、100万枚以上の大ヒットとなりました。

次に昭和47年浪曲師でもあり演歌歌手でもあった歌手「二葉百合子」でレコードをリリースしたところ、約250万枚売れる大ヒットとなりました。

ということで、「岸壁の母」のモデルとなった「端野いせ」の出身地である富来町に、この歌碑が建っているということです。

この地で日本の悲しい歴史を振り返るのもいいのでは。

「岸壁の母」歌碑


「岸壁の母」歌碑

 道の駅とぎ海街道」 

「道の駅とぎ海街道」は石川県羽咋郡志賀町富来領家町にあり、富来町の特産や海産物を販売するコーナーと、食事を提供するコーナーがあります。

道の駅とぎ海街道

店内入ってすぐの生け簀(この日は縞えびが入っていました)

土産物コーナー

土産物コーナー

お食事コーナー

道の駅の駐車場入口になでるとご利益のある「縁結び石」があります。

縁結び石

富来・・・富が来る 良い名前ですね

アクセス
北陸自動車道 金沢東ICを出てのと里山海道、県道献堂60号線経由 約1時間

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