被告人は、酒気帯び運転が、重大な事故を起こす要因をはらんだ行為であることも認識しながら、酒を飲んで車を運転し、酒気帯び運転で検挙されました。
判決では「訴訟費用は、被告人の負担とする」と言い渡されました。
判 決 懲役8月 執行猶予5年
訴訟費用は、被告人の負担とする。
判 決
主 文
懲役8月 執行猶予3年
訴訟費用は、被告人の負担とする。
訴訟費用は、被告人の負担とする。
理 由
被告人は、平成30年〇月▽日、酒気帯び運転で検挙された。
被告人は、自身で酒気帯び運転であることを、自覚していたにも関わらず運転した。
酒気帯び運転が、重大な事故を起こす要因をはらんだ行為であることも認識しながら、運転を続けたことは、悪質で酌量の余地はない。
しかしながら、被告人は反省もしており、アルコール依存症の治療を受けると約束しており、保有する自動車も処分し、前科もなく、家族がアルコール依存症の治療や再犯防止に向けた援助を約束している。
よって今回は、執行猶予付きの判決とした。
判決言い渡しの後、裁判長は被告人に対し、「アルコールとは断絶しなさい」と諭しました。
裁判の向う側
被告人は、判決を聞きながら相当がっくりとした様子でした。判決理由で、裁判長が述べたように、相当に反省と悔悟でいっぱいだと思います。
道路交通法の飲酒運転撲滅に向けた厳罰化から、10年以上たっていますが、未だに飲酒運転をするドライバーがいるということは、悲しい現実です。
被告人は、反省して二度と飲酒運転などしないよう願いたいものです。
ところで、裁判長は判決の主文のなかで、「訴訟費用は、被告人の負担とする。」と告げました。これまで、何度か判決言い渡しを傍聴しましたが、訴訟費用を被告人に負担させるとしたのを聞いたのは初めてでした。
これまで判決主文で聞いていたのは、「訴訟費用は被告人の負担としないこととする。」というのがほとんどでした。
そこで、訴訟費用とはそもそも何を指すのか、訴訟費用はいったいいくらぐらいなのかということを調べてみることにしました。
【刑事裁判の訴訟費用】
刑事事件における訴訟費用は、そもそも被告人が罪を犯したことで訴訟費用が発生したという理屈によって成り立っています。
ですから、無罪となった場合は訴訟費用は、もちろん負担する必要がありません。
刑事訴訟法上は、刑の言い渡しをしたしきは、被告人に訴訟費用の全部または一部を負担させなければならないと規定しています。
有罪の場合でも、訴訟費用を被告人に負担させることは極めて少ないそうです。
今回の判決で訴訟費用を被告人に負担させたのは、被告人には支払い能力があると判断されたのですね。
[訴訟費用] とは (引用:wikipedia)
刑事事件の訴訟費用は、「刑事訴訟費用等に関する法律」により定められており、以下の三つに区分される。
一.証人の旅費、日当、宿泊料
一.鑑定人、通訳人、翻訳人の鑑定料等
一.国選弁護人の旅費、日当、宿泊費、報酬
刑の言い渡しをする場合(有罪かつ刑の免除をしない場合。刑事訴訟法第333条1項)には、被告人に訴訟費用の全部または一部を負担させなければならないが、被告人が貧困のため訴訟費用を納付することができないことが明らかであるときは、被告人に負担させないものとすることができる。(刑事訴訟法第181条)
被告人に訴訟費用を負担させるときは、主文でその言い渡しをすることとなっており(刑事訴訟法第185条)、特に言い渡しのない場合には、被告人の負担にはならない。なお、訴訟費用の負担の言い渡しを受けた場合に、貧困のためにこれを完納することができないときは、裁判の確定後20日以内に訴訟費用負担り裁判の執行免除の申し立てをすることができる。(刑事訴訟法第500条)
[訴訟費用の額]
一.証人の旅費、日当、宿泊料
旅費:実費、日当:8,000円以内、宿泊料:7,800円~8,000円以内
一.鑑定人、通訳人、翻訳人の鑑定料等
旅費:実費、日当:7,600円以内、宿泊料:7,800円~8,000円以内
一.国選弁護人の旅費、日当、宿泊費、報酬
旅費:実費、日当:7,600円以内、宿泊料:11,800円~13,100円以内
報酬は法テラスの資料によりますと、一例として弁護期間15日で4回接見の場合の基礎額として86,400円となっていますが、ケースバイケースだと思いますので一概には言えません。
ある資料によりますと、最近の裁判1件あたりの訴訟費用を11万1千円としている数字がありました。
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