2019年5月23日木曜日

京都の矢田寺は寺町商店街の中にあって多くの提灯が出迎えます

京都の「矢田寺(やたでら)」は京都市中京区三条寺町上ルの寺町通りに面しており、三条寺町交番と常盤そばの間に挟まれています。

矢田寺の御本尊は、「代受苦地蔵(だいじゅくぢぞう)」と呼ばれる地蔵菩薩立像で、地獄の火焔の中に身を置いて、地獄で亡者を救っている地蔵の姿を彫刻して祀ったものと伝えられています。


矢田寺

 矢田寺 御由緒 

寺号 金剛山 矢田寺 (通称は矢田地蔵)

宗旨 西山浄土宗

御本尊 地蔵菩薩

ご利益 
恋愛成就・所願成就・安産守護・しあわせ大日・無病息災

矢田寺は平安遷都直後の白鳳4年(700年)、天武天皇・持統天皇の両天皇の勅願所とすべく、大和国(奈良県)の「あじさいの寺」で有名な矢田寺の別院として、五条坊門(京都市下京区壬生)に創建されました。

その後、火災によって下京区矢田町(綾小路通り西洞院東入付近)に移されました。

また、更にその後、天正7年(1579年)豊臣秀吉による京都の区画整理事業の際に新しく造られた寺町通りの現在の地に、他の多くの寺院とともに移されました。

本堂に安置する御本尊の地蔵菩薩(矢田地蔵)は、光仁7年(816年)に日本で初めて作られたとされる地蔵菩薩像です。

地蔵菩薩像は高さ約2メートルの立像で、火焔の中に立つ珍しいお姿をしています。開山(寺院を開創した僧)の満慶上人(満米)が、小野篁の橋渡しで冥土へ行き、そこで出会った生身の地蔵菩薩の姿を彫らせたものと伝えられています。地獄で亡者を救うことから「代受苦地蔵(だいじゅくぢぞう)」と呼ばれ、お参りする人々の苦しみを代わってくださるといわれ、人々に広く信仰されています。
この地蔵菩薩について次の説話が残されています。

平安時代、閻魔大王は苦しみで蔓延する世の中に悩み、不安を抱いていました。
そこで受戒(仏の定めた戒律を受けること)を決意し、朝廷の高官で現世と冥界を行き来していた小野篁(おののたかむら)に相談しました。
小野篁に「受戒するには当代きっての僧侶がよい」と勧められた閻魔大王は、大和国(奈良県)矢田寺の住職だった満慶(まんけい)上人を招きます。
そして、菩薩戒(ぼさつかい/菩薩が受持する戒)を受け、無事に苦を取り除くことができました。
そのお礼として、満慶上人には地獄を見ることが許されました。
閻魔大王に案内してもらった満慶上人が地獄で目にしたのは、炎が煮えたぎる鉄釜に罪人が落ちていく姿でした。
ふと見上げると、一人の僧侶が鉄釜の中にいる罪人たちを助けているではありませんか。
その助けている僧侶こそが地蔵菩薩でした。
地獄から戻った満慶上人はその姿を刻んで、矢田寺に安置したのだといいます。


また、矢田寺にはこの様子が描かれた「矢田地獄縁起絵巻」が遺されており、国の重要文化財に指定されています。

満慶上人は地獄から戻る際、閻魔大王からお土産に小箱を授かります。
そこにはお米がいっぱい入っていて、いくら食べても尽きなかったことから、満慶上人はのちに「満米(まんまい)上人」と呼ばれるようになりました。

このお地蔵様には安産・子孫繁栄・病患悉除・万霊供養のご利益があるといわれています。

矢田寺扁額

矢田地蔵尊扁額

 本堂

金網の中の本堂に火焔の中に地蔵菩薩(少し見にくいですが)

 送り鐘 

矢田寺の梵鐘は、六道珍皇寺()の「迎え鐘」に対し、「送り鐘」と呼ばれ、死者の霊を迷わず冥土へ送るために撞く鐘として人々から信仰され、一年を通じて精霊送りには多くの参拝者で賑わっています。
本堂前でお参りする際には、この鐘をついてお参りし精霊送りをします。

送り鐘(右側の梵鐘)

 賓頭盧尊者(びんつるそんじゃ)通称「べんつるさん」 撫で仏 

お釈迦様の弟子の中でも特に優れた16人を十六羅漢といいます。賓頭盧尊者は十六羅漢の第一尊者で、万病を治す法力があると云われ、自身の悪いところを「べんつるさん」の像でなでて祈念すると霊験あらたかと言われています。
本堂の左脇に安置されています。
「べんつるさん」
 しあわせ大日如来 
多くの提灯に囲まれて、「しあわせ大日如来」が安置されています。
大日如来は、大宇宙の数え切れない仏の中の最高の仏とされています。
開運・厄除けにご利益があります。


 地蔵菩薩 
一般的な地蔵菩薩や石地蔵もお祀りされています。
 地蔵菩薩

石地蔵
 ぬいぐるみ守り 
お地蔵さんの姿をした愛らしいぬいぐるみ守りがあります。
フェルトで作られたお守りの中にはご本尊の札が縫い込まれています。

良縁成就・安産祈願・無病息災などのご利益があり、このぬいぐるみ守りを求めて、全国から若い女性が訪れます。

お守りは持ち帰っても、願い事を書いて奉納するのも自由です。
少し見にくいですが「しあわせ大日如来」のお堂の下に吊るして奉納されています
境内は提灯だらけ
境内には、所狭しと提灯が吊るされています。静かな境内ですが、赤い提灯の灯りで心が元気になります。


アクセス
京阪電車 京都線 神宮三条駅下車 徒歩7分

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