2019年5月24日金曜日

能登半島の能登金剛の厳門は波食によって穿たれた天然の洞門

「能登金剛」は、能登半島の西海岸の石川県羽咋郡志賀町にある、約30Kmに亘って奇岩、奇勝、断崖が連続する海岸線で、能登半島国定公園の代表的な景観の一つです。
「厳門」は、能登金剛の絶景の一つで、波食によってうがたれた天然の洞門です。

 厳門

能登金剛の一帯の海岸は、日本海の荒波によって浸食されたもので、名称は朝鮮半島有数の景勝地、金剛山に因み、それに匹敵するという意味合いでつけられたそうです。

見どころとしては、「厳門」「関野鼻」「機具岩」「やせの断崖」「碁盤島」「吹上滝」
「増穂浦」「玄徳岬」などがあります。


 厳門 

厳門へは、能登金剛センターの駐車場から海岸に向かって遊歩道の階段を降りて、さらに鷹巣売店前の厳門洞窟を降りると、海面が見え、そこから右手を見ると厳門です。
厳門は、幅6m、高さ15m、奥行き60mにも及ぶ大規模なものです。

売店前の厳門洞窟への降り口(狭いですよ)

 遊歩道の厳門洞窟から厳門の岩場に出たところ

岩場から見た厳門の洞門

 浮世絵に見る厳門 

歌川広重は「六十余州名所図会」「能登瀧の浦」「厳門」「不動の滝」「鷹の巣岩」を描いています。
現実の眼前に広がる景色が忠実に再現されています。さすが天才ですね。


 歌川広重が描いた「六十余州名所図会」の「能登瀧の浦」

 浮世絵と同じ角度から見た厳門(左手に鷹の巣岩)

不動の滝

 鷹の巣岩

 能登金剛「厳門」と松本清張「ゼロの焦点」 

「点と線」や「砂の器」などの社会派推理小説を著した「松本清張」が描いた小説「ゼロの焦点」は、能登金剛の厳しい自然と能登に暮らす人々の暮らしを背景に、戦後日本の混乱期に貧しさゆえに進駐軍相手に「パンパン」に身を落とした主人公の女性の葛藤と、その後の人生が破滅していく様を描きました。

 ゼロの焦点のあらすじ 

主人公はそのいまわしい過去を消し去って金沢で社長夫人にまで這い上がっていましたが、偶然にパンパン時代の過去を知る元警官の男性と再会しました。主人公はいまわしい過去の露呈を恐れ、元警官の男性を能登金剛の断崖で自殺を偽装して突き落とし殺害しました。

男性の遺体は発見されず、その後その男性の新妻の女性は夫の死の真相を探るべく東京から金沢、能登に赴きました。再び身に危険が及ぶことを恐れた主人公は、自分の過去を知る別の女性も能登金剛の断崖から突き落とし殺害しました。

最後、主人公は男性の新妻から殺人を暴かれ、また消し去りたい過去をも暴かれ、生きていく糧が無くなったことを嘆き、独り能登の荒海に小舟で漕ぎ出してやがて海の中に消えゆきました。

 厳門の松本清張の歌碑 

小説「ゼロの焦点」が映画化されると、この影響を受けて能登金剛は自殺の名所となり、最盛期には年間18人が断崖から身を投じたということです。

松本清張は、このことを嘆き歌を詠みました。

「雲たれて ひとりたけれる荒波を 小石と思えり 能登の初旅」

映画「ゼロの焦点」で殺害の舞台となったのは、「やせの断崖」でしたが、映画のロケが厳門で行われたということで、松本清張の歌碑は厳門の公園内にあります。

松本清張歌碑標識 

 松本清張歌碑

 幸せの厳門橋 

厳門へ降りる遊歩道の途中に「幸せの厳門橋」があります。
渡ると幸せがおとずれるということですので、是非渡ってください。橋の中央からは、千畳敷と遊覧船の絶景が見られます。

 幸せの厳門橋

幸せの厳門橋

幸せの厳門橋から千畳敷と遊覧船(岬の突先に碁盤岩が見えます)

アクセス
北陸自動車道 金沢東IC出口から国道8号、のと里山海道経由で約1時間

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