2019年5月21日火曜日

【裁判傍聴記】すみませんでしたー

被告人は、■市内路上で警察官の職務質問を受け覚醒剤所持の現行犯で逮捕されました。
その後の尿検査の結果から、覚醒剤使用も判明しました。審理の最終段階の被告人が最後に意見を述べる「被告人最終陳述」で被告人は一言みませんでしたー。」



罪 状 覚醒剤取締法違反
被告人 50代後半 男性
求 刑 懲役2年6月 


 事件の概要 

被告人は、平成30年5月△日■市内路上で警察官の職務質問を受け、覚醒剤所持の現行犯で逮捕されました。
その後の尿検査の結果から、覚醒剤使用も判明しました。

被告人は、公判冒頭の人定質問で住所不定で無職と陳述しました。

被告人は、平成30年1月に刑務所から出所後、建設会社で住み込みで働いていましたが、その後働いていた建設会社を辞め、以前に刑務所で同房になった■市の友人の家に転がり込み、居候していました。
■市では定職につくことはありませんでした。そして平成30年4月以降は、再び覚醒剤を使用するようになり、逮捕されるまでに、8~9回使用していました。

被告人は、和歌山の中学校を卒業後、職を転々としており、暴力団に所属していた時期もありました。

これまでの前科は12件で、その中には覚醒剤の前科も多数あり、また実刑も多く社会で生活しているより、刑務所で生活している時間の方が長かったようです。


 被告人質問 

弁護人
なぜ覚醒剤を使用するのですか。
被告人
使用した瞬間だけ気持ちがよくなるからです。

弁護人
友人の家で居候している間、生活費はどうしていましたか。
被告人
友人の世話になっていました。

弁護人
なぜ覚醒剤をやめられないのですか。
被告人
使用した瞬間だけ気持ちが良くなるだけで、やらないとどうしても我慢できない、ということはありません。

弁護人
我慢できないことはないのに、覚醒剤をなぜやるのですか。
被告人
なんとなく使っていました。


 論告求刑 

論 告
規範意識が乏しく、常習性が高い。

求 刑
懲役2年6月


 弁護人最終弁論 

被告人質問でも明らかなように、被告人に覚醒剤への依存性は低く、再犯の可能性は低いと考えます。寛大な判決をお願いします。


 被告人最終陳述 

(大きな声で)
すみませんでしたー。


 裁判の向う側 

被告人は、刑務官に引致されて法廷に入ってくる際も、傍聴人席をキョロキョロと見まわしていました。裁判が始まってからも、時々被告人席から傍聴人席を振り返り、キョロキョロ見まわしていました。傍聴人席に友人や知りあいがいるのかもと思いましたが、そのような人はいませんでした。
刑務所生活が長かったので、人懐かしかったのかも知れません。

被告人の前科前歴の多さから、これまでの人生の大半は刑務所暮らしです。よほど心を入れ替えないと、この様子ではこれからも同様のことの繰り返しではないかと思います。

他人に迷惑をかけ、自らも人生を棒にふり、この人の人生は何だったんだろうかと考えてしまいます。

刑務所から出所してすぐの犯行です。
恐らく判決は執行猶予は付かず実刑判決となると思います。

次に出所してからは、犯罪に手を染めないよう余生を過ごしてほしいと思いました。

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